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3月23日

卒業旅行

それは 前日から始まった


長女の卒業の記念に
二人で京都に行くことになりました。

えっと…実は 自分で切符を買って遠くに行くのは
初めてです。

新幹線にちゃんと、乗れるだろうか…とかかなり、本気で不安でした。

なのに「だいたい そんな感じ」の娘は
なんの準備もしない…。
そんなこんなの様子は日記に書きましたが。

で、前日の昼ごろ、電話がありました。

「着信 しおのばか」

あ… 前に私の携帯番号を登録してないで
いちいちメールで「電話番号なんだったけ?」と聞くのに
頭に来て、登録名を「しおのばか」にしたの
そろそろ、直さないとな。

私 「はい」
しお 「あ、どーも、おつかれさんっす。
    えっと、こっちは打ち合わせ終わった所ですが
    そっち、どんな感じです?」

はい?なんですと? 

とかは思わないよ。

しおは、帰宅後に電話かけると 私の長話に付き合わされるのを
懸念してか、いつも会社から電話を寄こす。

私「何の ご用でしょうか?」
しお「えーー、ですから、あの件の時間はどうなってます?」


私「なんのだよ?」

しお「(小声で)きょうと…」

私「え?はっきり言っていただかないと聞こえませんが…(聞こえてるけど)」

しお「
きょうと」

私「え?なに?もしもし?もし、もーーーし!」
しお「だから、 京都だよ!」

ばかじゃん、大声出すんだったら、最初から普通の声で言えばいいじゃんかよ。

 

私「新幹線?11時ぐらい。だいたいそんな感じ」
しお「了解しました」


私「了解?」
しお「じゃ、その時間に客先の方に行きますので」

私「はい?」
しお「直接伺いますから。
   
 …で、どっち?   東京?品川?

私「(私も小声で) しながわ
しお「え?なに?
品川?
          ↑
          バカ

私「なんなのよ。来てくれんの?」

しお「
乗せてやるよ、新幹線。のれねーんだろ?

   じゃ、そういう事で、宜しくお願いします。
   今から、また一件緊急の
   打ち合わせがあるんで、失礼します。

 

なにが、失礼します だよ。

でも、乗せに来てくれるらしい。
親切。

でもさぁ…最期だけ、ビジネストークっぽくしたって

こしょ、こしょ こしよ……京都 こしょ、こしょ こしょ…品川
なんて、凄い怪しいじゃん。

細心の注意を払ったつもりで
墓穴を掘るって こういう事なんだろうなぁ。

今頃 会社で、
「仕事中に女と京都に行く相談してた」
とか噂が立ってれば、いいのに。

 

でも、日曜の朝に 起きれる訳がないから
期待するのはよそう。

第一 待ち合わせ場所も決めてないのに
どこで会うんだよ。

ま、私も忙しいので しおはほっとく。

そんで、当日 娘と出かけました。

本気で緊張してる私は 一時間前には品川到着。

お弁当も雑誌も買ったし、暇になったので、
どうせ、寝てるに決まってる しおイジメでもしてやるか。

 

写メール送信

宛先 しお

本文 

ここで しおさん待ってるんだけど…。
どこにいんの?早く見つけて。

おしっこ行きたい。

娘と「…しおさん、今頃 慌ててるよ。
『しおさんのせいで、限定新幹線乗り過ごした』って
新幹線の中からメールしてやろ」とか

「ううん、ママが怒って 『もう、行かない』とか言ってるって言う
方がインパクトない?」とか相談。

すると

「わかった、わかった。今、そこ行く」という返信。

 

しおさん 登場。

あ、おれ、そこで入場券買ってくっから。

 

 

 

じゃ、行くよ!
娘の荷物を持って 颯爽と歩く。


こっち、こっち!

「ま、俺みたいな 日本を動かしている
出張慣れしたビジネスマンは ざっとこんなもんだよ」
と聞かれても無い事を言って悦に入る。

私達の駅弁まで持って、
ホームでふざける しお。

写真を撮るのにも飽きたのか
ベンチで座り込んでいる私の隣に来て

「練習しようか?3、2、1…行け!」

練習?なんの?

「いや、ここは東京駅と違って始発じゃないからね。
乗るタイミングって言うものが難しいね。
これを、逃して 
新幹線のドアに挟まって 悲惨な事になってる人が
時々いるね。俺が 号令かけるから、1で、乗り込む!
そうすれば十中八九は大丈夫だろう。

まぁ、絶対大丈夫って 保障はないけどね。

私は 品川に一時間前に到着するぐらい
本当に緊張しているので、
この手の冗談は マジ 頭に来る。

顔が引きつっている私を娘がチラチラみて
「まずい…」という顔をする。

「しおさん、やめなよー。ママ、ホントに新幹線怖いんだから。」



「頭に来た。乗るときに、しおさん 引きずり込んでやろ。私が
引きずり込むから アンタは荷物全部入れなさい。」と娘に耳打ち。

「わかった!」

おーーー、次だ、次!!


抵抗する しおさんを 無理やり引きずり込む醍醐味を
味わいたかったが、すんなり乗ってしまい 拍子抜け。

「ま、いいよ、いいよ。ついでに横浜まで、送るよ」
って、なんの「ついで」?

 

横浜で降りる人が
この寛ぎ様。

出張慣れしたビジネスマンらしく
さっさと座席を回転させ、お座敷モードに。

これ、トロッコじゃないよ。
「のぞみ」じゃないとは言え、
「ひかり」だよ。新幹線だよ。

品川から横浜までなんか
あっと言う間だよ。

どうもこの人は
「東海道五十三次」の時間感覚しかないらしい。

 

 

娘に
「弁当出しちゃいな。
これ、食べ始めた所で 横浜だよ…って言う」
と命令。


品川駅で買った 駅弁

車掌さんの
「切符を拝見させていただきます」の前に
弁当を食っている「入場券なしお」

良かったら、これ、お前も喰わない?って…
それ、あたしの弁当なんですけど。

お前の弁当なんか、ねーんだよ!

厳しく躾られているので
車掌さんが来るまではお行儀良くしている
私達 母娘。

切符を拝見させて頂きますにも
即座に切符を出す。

しおさん、切符は?

慌てて弁当を横に置き、靴をはいたものの
座席回転させて弁当喰っていて
「横浜まで」とはビジネスマンとして言いづらかったのか

 

「すいません、あの…席あいてます?京都まで」

娘・私「えーーーー!!!来んのーー!!」
しお「…そういう事、言うなよー」
と内輪揉めするも

車掌さんは冷静に

「少々お待ち下さい。ちょっと調整して参ります」と
言い残して帰ってしまう。

私「空いてないといいね。
本日の指定席は横浜から満席ですとか…」

娘「そうだよね。春休みだもんねー」

しお「そういう事 言うなよーー!」
と言いながら 泣きそうな顔のしおさん。

じゃ、ゆっくりお弁当食べようっと。

しおさん、弁当返して。

15分ほどして車掌さんが
「大丈夫でした」と言うと
今まで泣きそうだった癖に
「じゃ、しょうがないから京都まで湯豆腐喰いに行くか!
おれも湯豆腐を喰う為にだけ、京都に行く男になったか。
ボジョーレー飲みにフランス行くようなもんか?」
とか下らない事を言う。

私達は格安新幹線だが、
しおは当日な為 正規の
1万7千円余なグリーン。

痛々しい思いで、財布からお金を出す塩さんを見ていると
「そういう目で見るなよー!」

更に 「もう、お金ない?」と財布を覗こうとする
失礼な娘。

「まもなく、京都に到着します」というアナウンスに
ゴミの片付けを指示するしおさん。

それを縛って 持とうとするので、
娘と取り合いに。

私が
「ゴミなんか、娘に持たせて!
しおさん、そんなん持つもんじゃないよ!」
と言うと娘が

「そうだよ!しおさんがゴミ袋持ってたら
捨てるんじゃなくて、拾って来たみたいじゃん!」と
年長者を敬ってるんだか失礼なんだか
わからない発言。

京都駅到着

いいと言うのに二人分の荷物を持ってくれるしおさん。

とか言いながら 写真撮っている私。

…という訳で思いがけずの
京都三人旅が始まるのでした。

しおさんには
「なんで、ついて来んの?信じらんなーい」と
言いながら


「しおさんも一緒!嬉しい!嬉しい!
ママ、うれしいねーー!」

大喜びの娘なのでした。

 

 

 

BBS


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