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KAYAMAMEAT
Diary


a la mer, de la mer, pour mon cheri


119



cherchez la femme 

5月13日

 

本は良く読んだと思いますが、それが、知識になって蓄積されるとか
教養となるとか言う事は、私の場合まるでありませんでした。

…よんだら、忘れる…という感じ。

題名さえ忘れてしまうんですから、どうしようもないかも。

とにかく、読むのが好き…。

そんな話を前にしたからなのか…

嘉山さんが、
「これ、読む?」と貸してくれたのが

山田深夜 著 
横須賀Dブルース と 千マイルブルース 


 

バイクの雑誌の 「ミスターバイクBG」 に連載していたものだそうです。

私、バイクわかんない。
ブルースもわかんない。
淡谷のりこは「ブルースの女王」とか言われてたな…位しか。

目の上を青くして赤い口紅を塗ってる人が歌う歌謡曲が
ブルースだと思っていたんだけど、 多分…違うんだろうなぁ…。

 

バイクの事が出てきても理解できないかも…。

したら、「これなぁに?」って嘉山さんに聞けばいいか…。

携帯出ねーーけど。
メール返事来ねーーし。

 

ま、一応、事前に確認しとこ。
この人、役たた……だから。

「私、バイクの言葉がわかんないけど、
わかんない言葉を抜かして読んでも、筋わかる? 」


「うん。」

……うんって?
どう「うん」んわけ?

「『うん』なの?『ううん』、なの?どっち?」
「読んで見たらわかるよ」
「ふ〜〜ん」


なにが、「ふ〜〜ん」なのか自分でもわからないまんま
借りてみました。

だって、嘉山さんのこういう返事じゃ、
「ふ〜ん」って言うしか ないじゃんよ。

 

私……、パソコンだって、カメラだって、説明されてる
用語自体がわかんないんだよ。
「すいません。日本語だけど、言われてることが全然わかりませんの」
の 世界なんだよ。

これ以上は無理だから。

カタカナ言葉がわからないのは、もちろんだけど、日本語が
わからないのよ、日本語がっ!

パソコンに満遍なく電気が行き渡って、使える状態になる事を
「立ち上がる」とか言うのやめてくれる?

 

…という事で、
こういうバイクで、あんなふうに走って、このバイクはどうでとか
そういうのを、覚悟して読み始めました。

……ら、違った…。

もちろん、バイクのわかる人が読めば、もう、震えちゃう位かっこいい事が
書いてあるには違いないんですが、そこの所は、わからないにしても
すげ、かっこいい短編集でした。

どうかっこいいかと言うと
「かっこ悪かっこいい」

文章から上質のドラマの映像が浮かび上がってくるような物語集でした。

短編でありながら、思いがけずの結末があり、しかもそれは
かなり洗練されたユーモアで締めくくられています。

 

それぞれの物語の中で、久しぶりに本当の男達に会ったように
思いました。

大きなバイクで威嚇するんでも、圧倒するんでもなく
叩き割ったビール瓶で、喧嘩する強さもなく
自分より弱いものを、当たり前の様に守ろうとする男達がそこにいました。

 

「来月の家賃、払えないかも…」
「オレ、月5万で暮らせっか?」

という切実な現実には鈍感な癖に
それが、女の人であれ、男であれ、子供であれ、動物であれ、
自分より弱いもの、傷ついているもの、助けが必要なものには
敏感な男達がそこにはいました。

どうでも良いことを真剣に相談する、女から見たら
「ば……ばっかじゃないの?」と思うような
子供そのまんまの、可愛い男達がそこにはいました。

オヤジ狩りをする不良少年に、「俺」を立ち向かわせようと
本人に内緒で色々画策し、しかし、返り討ちにあっても大丈夫なように
事前に、「焼き魚」を食わせる…とか。

「殴られても骨折しないように、カルシウムがいるべ?
カルシウムって言ったら、やっぱり魚だべ?」って。

いくつかの物語を通して、横須賀の魅力にひきつけられるようです。

横須賀の魅力は、海でしょうか、海から なだらかに始まる丘でしょうか、
山でしょうか…。

そこにいる人のような気がします。

物語に登場する男たちは、
多分…娘が結婚相手としてつれて来たとしたら
「あんたね、今はそう思ってるかもしれないけれど、
もうちょっと、冷静になって考えなさい…。」と言うかもしれません。

しかし、どうして、その男に惹かれるのかわかるような気がします。

違う価値基準の持っている人達からしたら、
だらしなくて、いい加減で、どうしようもない男かもしれません。

 

人に向ける、荒削りな優しさに、気がついて何か言おうとしたら、
「うるせぇ。黙ってろ。」という言葉が返って来そうな男に、
女は惹かれるのかも しれません。

山田さんの物語には余り女性は登場しません。

でも、この沢山の登場人物の男達の影に、それぞれの大事な女性が
見えるように思います。

人から見たら、
「あんな、旦那だから、苦労して…」とか
「良く、我慢してるわね。私だったら3日で別れるわ。」とか
思われそうな男達です。

しかし、こういう男と一緒にいる女の人達は
不幸でしょうか。

優しい言葉が向けられる事も、誕生日の花束も、ブランドのバックを
贈られる事も無く、街中で腕を組んだ事も無いような男でも
「この人はどんな事があっても、自分を守ってくれる」
「けっして、自分をはなさない」 という安心感があると思います。

不器用で、どこか間抜けで、いい加減な男。

もし、歩いていて、ビルの屋上から、物が落ちてきたら
とっさに、女に覆いかぶさって守ろうとするでしょう。

その横5メートルも離れた所に、落下物がアスファルトの道に落ちました。

いきなり覆いかぶさられた女は、道で頭を打って死んでしまいました。


多分、それでも、女は幸せです。

どうせ、一度は死ぬんです。
守ってくれた男の腕の中で死ねれば、それで幸せです。

「……あーあー、もう。普通に歩いてれば
ぶつかんなかったじゃん。 目測思いっきり間違ってるし…。
バイク乗りは勘が良いとか嘘だし…。
最後までまぬけねぇ…。私、もういないんだから
あなた、気をつけてよ。」
と 空の上で笑うでしょう。

男が思う「女の幸せ」と、女の人が望む幸せとは少し違うのかも
しれません。

男が「苦労させたな」と思うかもしれなくても
女性は、心が満たされていたらそれで、幸せです。
そうしてくれる男と一緒にいれたら、それ以上に望むものは
多分、多くはないでしょう。

こう言ったとしたら、きっと
「…そんな上等なもんじゃねーよ。うちのは。
文句ばっかり言ってるよ。
よく、あんなに、文句ばっかり言えると思うよ」
と言いそうな男がこの本には登場します。

 

cherchez la femme

シェルシェ ラ ファム
直訳したら、女を捜せ…。
犯罪捜査の定石だそうです。

犯罪の影に女あり


昔は探偵小説が好きでよく読みました。
主人公の探偵がつぶやく

「cherchez la femme」


…どうして、ここだけがフランス語なのか
全然わかりませんでした。

当然、意味もわからない。
わからないまんま
「…また、出てきた」と思っていました 。

私の読書って、いつも、そんな。
いい加減…。だから、すぐ、忘れる。

なにかで読んで
「決まり文句」だと知ったのは、ずっと後でした。

「あーーー!!あれじゃん!!」って。
……遅すぎ。

 

女性の出てこない山田さんの短編集の影には
女としての本当の幸せを持った女性が見えました。

 

本の表紙の写真の刺繍店の前を通ったことがあります。
暑い日でした。

看板の「刺繍経験 53年」という所の年数だけ
毎年張り替えるんだなぁ…と思いました。

刺繍という事で……
刺繍のドイリーの上に乗せて、こんな事してみました。
いかがでしょうか…。




え?くだんねーー事すんじゃねぇ?
女のやる事は、わかんねーなぁ……なの?

オレ、この手の女、苦手……なの?

そういうんじゃねーんだよ……なの?

まぁな…、なんだな…、いいけどな……なの?

……言われっと思った


……って言われてないんだけどね。
山田さん、知らないから。

でも、2冊続けて読んだから、なんとなく
もし、お会いすることがあったら

「あのさぁ、それでさぁ、山田さんさぁ…」と言ってしまいそうな感じ。

 

「俺」という、一人称で語り始められる物語に、
完全に作者と混同してしまっている私が
いるほど、短編の中に入り込める本です。

横須賀を好きな方、好きになりたい方、知りたい方、
…それから、本当の男の魅力を知りたい方、
どうぞ、読んでみてね。

かやまミートが貸すって言ってますから。


んで、嘉山さん、これくんない?

……あ、こんな事、言わないで

「返したじゃん。探してみなよ。
ちゃんと探したの?レジんトコじゃないの?」
って言う方がいいな。

........................................................................................

横須賀Dブルース
千マイルブルース 
かやまミートで、お貸しいたします。

店頭にありますので、ご希望の方はどうぞ、お声をかけてください。

 

本のカバーの袖です。
(袖っていうのかな…。折り込んである方)

バイクを乗る方でしたら、すぐわかるのでしょうが
これ、バイクの盗難防止の機械でしょうか。

そこに書かれているのは



はい、ちょっと待ってね、拡大するからね。

死ぬ気で盗れだって……
………
怖いよね。


……ってか怖くない。

だって、そんな怖い文言が、こんな律儀にきれいな字で。

こんなん書いたら、逆効果と思う。

「死ぬ気で盗っても、殺されねーな。」と私なら思う。

「お前なぁ…、人の物盗ったら泥棒なんだぞ、わかるか?
それって、人間の基本だぞ。 」って
説教されて終わりだなって。

そしたら、言えばいいや、

あの…山田さん「な」って書き順、どうかいてます?
点、あとで、書いてません?
「な」は、横 たて、てん、ですよ。
「てん」、後で書いてません? ひらがなは、基本っすよ。

山田深夜 著
寿郎社 刊

横須賀Dブルース
千マイルブルース

(モーターマガジン社 「ミスターバイクBG」
2000/2〜2004/3 掲載分)


現在 隔月誌「アウトライダー」(学研)をはじめとするバイク雑誌各誌に
小説を発表

山田深夜氏のHP
あん時ゃ夜走り朝帰り

 

 


 

 

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